古沢良太脚本『鈴木先生』がおもしろい!
リーガルハイが好きだと方々で言っていたら、古沢良太氏の脚本が好きなんじゃないの?と『鈴木先生』というドラマ&映画を薦められました。そしてどハマり。『鈴木先生』は原作がマンガなので、単純に脚本が好きとは言えないのだけど、なんにせよ、すばらしい作品でした。
原作はコチラ
- 作者: 武富健治
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2011/05/15
- メディア: コミック
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おもしろポイント1
どこにでもいそうな平凡な教師が、どこにでも起こりえる問題について過剰に悩みつつ、独自の教育理論によって解決していく様を描きます。(公式サイトイントロダクションより)
この紹介通り。教師が、どこにでも起こりえる問題について過剰に悩みつつ、独自の教育理論によって解決していく様が描かれている。ポチが鈴木先生を観て1番感じたのは「リアル」だということ。このリアルさが、どこに起因するのかというのは、まだ掴みきれていないので、何回か観てから改めて考えてみたい。でもでも、この紹介は1部分、しかも致命的に間違っていると思う。鈴木先生(長谷川博己)は「どこにでもいそうな平凡な教師」ではない。誤解を恐れずに言えば、どこにでもいる平凡な教師は足子先生(富田靖子)じゃない?こーゆー人いっぱいいるよ。
おもしろポイント2
鈴木先生は、この2年A組で自分なりの教育理念を試す実験をしようとしていた。一見普通に見える生徒たちほど心の中には鬱屈したものを抱えていると感じる鈴木先生は、「大人しくて優等生が多いクラスはつまらないクラスになり、不良や問題児がいてこそクラスは活性化する」――そんな教育現場の常識を打ち破り、彼らの心の中を改革することにより、理想のクラスを作り上げようとしていたのだ。その為にはクラスの中心にスペシャルファクターが必要であり、それが小川蘇美だった。(公式サイト予習・復習より)
教育は実験である。とまでは言わないけれど、教育現場で実験をするというのは間違いではないと思う。自分の受けてきた(受けている)教育が「実験」だと言われれば、いい気はしない。でも実態として正しいのではないか。だからこそ、授業研究がは続けられ、教育実践研究も成立する。教育とは完成された完璧なものではなく、常に研究途上なのだ。そのように考えると、自らの教育実践を「実験」、つまり未完成であると自覚し、それを完璧なものにしようとしている鈴木先生の有り様には好感が持てる。足子先生のように自らの教育を完璧だと思い込んでいる先生の方が、よほどイヤじゃない?
おもしろポイント3
問題児ではなく優等生に着目する鈴木式教育メソッドは、実はすごく斬新な気がする。教育系のドラマ(に限らないけど)でよくあるのは、問題児が更生していくパターン。これはこれでおもしろいし、実際の教育現場でも問題児(と言われるような児童生徒)の方が話題にあがるから、リアルっちゃリアルなんだけど。
うろ覚えだが、第7話?で鈴木先生が「教育は優等生の負担の上に成立している」的なことを言っていて、ポチはこれにすごく惹かれる。この部分は自分の教育観にも影響してきそうな気がする。(後日、確認して、ちゃんと引用、修正します。)
おもしろポイント4
性教育に真正面から勝負している。性教育は、このドラマの裏テーマと言っても過言ではない。もちろん、鈴木先生のやり方には賛否両論あると思うし、実際の現場では、より複雑な部分はある(ドラマのようにうまくはいかない)。が、ある意味「性教育」に対する解を導いているとも思う。ドラマとは言え、いい着地点にもっていったなという感じ。
「性教育」だけを取り出すと、話が変な方向に行きそうなので、一応補足しておくと、最終話での「多様性」の話ときちんと結びつけて読み解かないと、性教育をネタにした、ただのマッチョな物語にしかならないので、この点はきちんとおさえておきたいところ。
おもしろポイント5
鈴木先生は、最後まで観ないと良さが分からない気がする。ポチも前半は、なんとなくおもしろいなーぐらいで観ていたけど、後半にいくにつれ、いろいろつながっていき、最終話で納得しました。至る所に秀逸な補助線が引かれていて、それがちゃんと最終話でまとめられている、そのような感じです。
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以上、かんたんなレビューおわり。考察はまた後日。